◎進化する私

最近、頭がよくなっている（気がする）。気のせいかもしれないが。
人間は脳の1割しか使っておらず残り９割の潜在能力を云々、というのは真っ赤なウソ、とTEDで神経学者が言っていたが、最近、脳内でシナプス結合が次々と起こっているというか、昔ちょっと繋いで忘れていたものが再結合されて強化された？みたいな感覚を持っている。

だって、考えたり処理するスピードが、少し前の３倍～５倍速くらいになっているのだもの。

そもそも1999年の暮に母が病気になったので夫を連れて実家に戻り、その後２年位で勤めていた出版社もやめ、さらにそのあとしばらくして、なんだかんだで20年くらい属していた世界から完全に足を洗った（？）時、母が他界した後で精神的に落ちていたということもあったが、私は、19、20歳の頃からの人生については心の底にしまって、市井の一員として、ただ自分の良心にだけは恥じない生活をしていこうと思ったのだった。
それまでの人生は、本当に波乱万丈。まあ、普通の同じ世代の人に比べると、かなり強烈に変わった人生を経てきたのは間違いない。

家に戻ったあとは、のんびり過ごし、バドミントンをやりながら、少しヘルパーの仕事をし、父も他界したので、スペイン旅行へ行って、自宅を建て替え。ケアマネの受験をし、ケアマネになって、１年間はよそで修行し、その後自宅で開業。ちょっとだけ仕事していればいいやと思ったのですが、ケアマネジャーという仕事、思ったより社会にかかわる仕事であり、やっていると社会的な欲もでてきて、だんだん静かにのんびりではなくなってきてしまった。
ケアマネの教科書では、ケースワークという仕事について触れ、「足りない社会資源は作るべきである」となっている。いろいろなことをしてきて、人ができないことをできたりする部分があるので（そのかわり、みなさんができることができないのです）、これはあった方がいいな、これはこうした方がいいだろう、とやってくると、なんだか自分の仕事以外の公共の仕事が増えてきちゃう。

一方で、ケアマネとしての8年間は、2000年までの私の頭でっかちだった部分を補うように、世の中のさまざまな人のリアルな人生に、深く関係せざるをえない年月だった。ケアマネのアセスメントというのは、クライアントの生活のさまざまな面にわたるので。その人が朝ご飯に何を食べていて、それはどう入手しているかなんていう情報も知らないといけない。
以前もかなりいろんな人と接してきたと思っていたが、むしろ学者だったり一部のエリートだったりする場合が多く、一般の人の人生というのは、実にさまざまなんやなーという当たり前のことに、やっと気づかされた感じです。

よりみちハウスを作るまでに、いろいろな面で自分にものすごいストレスをかけ、種々様々な雑事もこなさなければいけなかったので、建物ができた後も、私の脳には効率性が求められた。情報処理量を多くして、次々判断し、仕事を片づけ、関係者と相談していかなければいけない。もっと人に頼ればと言ってくれる仲間も多く、実際いろいろな人に頼って協力もしてもらってきたのだけれど、それでも自分で処理しなければいけないことが多かったのです。

その結果。頭がよくなったような気がするんだよなあ。
少なくとも、2000年以前に培っていた社会的スキルを活かさざるをえなかったので、当時のあれやこれやが蘇ってきた。そこはノーテンキな性格なので、いろいろ辛いことや苦しいこともあったような気もするのだが、楽しかったこと、面白かったこと、ためになったことしか思い出さない。さすがやな、私。

若い頃、本当に使えない、問題満載のねーちゃんだった私を、いろいろな人が育ててくれ、真剣に教えてくれた。Aさんは問題も多い人だったが、何よりも私のよいところに注目してくれ、私を思ってもみなかったところに立たせてくれた。

日本哲学界の第一人者、故廣松渉先生にも可愛がっていただき、フェミニズム、ジェンダー論の江原由美子先生との雑誌『情況』での対談では、司会の役を与えていただいた。思い出して引っ張り出してみたら、あまりに生意気な発言をしていて、本当に赤面してしまいます。
2000年以降、アダム・スミスを勉強した時には、水田洋先生や田中正司先生にも大変よくしていただいた。水田先生は、原稿の受け取りに、お茶の水の山の上ホテルを指定され、世間知らずだった私に文化の香りも与えてくださったのでした。
そうやって、大学すら入っただけで出ていない私を、みなさんが面白がって面倒をみてくださり、養分を与えてくださったのだと思います。

そういう先生たちのご厚情も忘れ。もう自分の周りのことだけ考えていけばいいやと思ってきた十数年。ああ恥ずかしい。
よりみちハウスを作った私は、もう一度、世の中に向かって、きちんと立っていきます。
経験してきたさまざまなこと。勉強してきたいろいろなこと。接してきたたくさんの人。いろいろなことを統合して、残された人生、やれるところまでやってみます。

いまも多くの素晴らしい方々に囲まれ、最高の環境にいる。パフォーマンスが上がらなければおかしい。

気持ちはそういうことですけどね。でも、のんびり、ゆるゆるしたタッチでやっていきますわ。メンタル弱いし。傷つかないように注意して、うまいことやっていきます。